so sasatani,objective-Saw since 1990.02.02
歩論恵 さようならの鐘 曇り空 あかるく くらく 触れた時間 久しからず遠からず旅にでる詩人 荷台が空っぽで速度を上げる軽トラックは 黄色く塗り替えられた 記憶をいつも愛する 一歩あるき下を見れば 壊れたネジが落ちてい… 続きを読む
黄昏 よりどころは省みる ひとりの悦びを娘に問いかけ だれも見向きもしない牡丹を愛でる 知らずとも知って 悲哀は白い壁に跳ねかえって 詐称の涙が乾き 一輪の生をおがむ
死と対峙した情景 妙蓮の上で奥ゆかしく踊れ 妙蓮の上で奥ゆかしく踊れ 妙蓮の上で奥ゆかしく踊れ 志にはどんな風が 吹いているのでしょうか? 育まれる生命が過去に決別した 己の声明を超えて 天から降る恵みの雨と点から線 お… 続きを読む
仄かな 机の中の蜜柑が現実を吸い込み 修復せずに置いてあるふたつの秘密 ひとつは乾いた喉を満たす一杯の水 湖を横切る老婆は いつもいつまでも 真似ていた ひとつはひらひらと舞う折り紙 白昼に 濡れた手紙を 数えていた
月影落とし 空に高く 闇を導くもの 煌々と照らされる 丘の上のすべり台 しばらくの沈黙は用途もなくて歩みだす悲しみのうしろ 響きは追いかけあって おちる おちる おちる おなじものみれどわかれてしまい違うたたずまい おな… 続きを読む
剥落 律しても動く鼓動 整備された芝生の麗しい様式の中で 小さく疼く 夢の中の隣の人 飾りを捨て希望を持ち 武装した記号 武装した言語 曇天模様の下で仮面の告白 健全な精神に覆われた海 解放されたものの網 流動性のない神… 続きを読む
cream 私は鏡と 反対の 現実をみて 転倒 させて 堕落に用事が あって パンを 食べて 次の日に 手を伸ばして 無自覚に 会話をして ギターの弦のような か細さを得て 色づく季節を 迎えて 手に入れた 本を破り捨て… 続きを読む
技師 8つの窓がついた扉 祈りと意味づけが 顔を覗かせる 永遠に とどまろうとする 古びたベッドのように 心が軋み 電球に照らされて 耳を澄ませば
礫 廉潔に影 黒い小粒の実り 問わずに語る夢幻の営み 足指まで冷えた冬至の思い出 そぞろにわずかな淋しさ 柊や、柊や 邪宗の入門 内側からなる媒介者のための孔 のぞくとひとつ おそるるものにふたつ 白い秋は過ぎ去り 北の… 続きを読む
友の便り 弔いは発見に似ていて 同じ街に生きて 違う価値で死に 探すことをやめれない犬 目に余る心情 バクバクと謳歌し喰らい合う 隅っこで、景色を、純粋なる友よ、友の友よ さようであるならば また逢う日に 葵が咲くと信じ… 続きを読む