『素描207』 溢れて問う、問うて溢れる。根幹のリズムが意味を形成し辺りを照らす。流れる、流れる、流れる、歓欣鼓舞、若草の踊り。公の園に新しい朝が訪れる。
『素描206』 旋律の保管庫。抗わず、香櫨の前の野狐禅。 衰退の悲鳴を薙ぐ。リハーサルとも取れぬ怒号。pizz. arco pizz. arco 指揮者の涙に濡れたタクト。蓄音機から流れる希望の舟の画。
『素描205』 傘、麻、似、傘、麻、似、時をかけると移さず名付けたのは兄と弟の灯。 傘、麻、似、傘、麻、似、有り難がる心に残ると名付けたのは沙羅。
『素描204』 雲を眺めたお互いの奏法が夜に沁みる。友と峰を超えども道のりはまだ続く。有り難がる心に連想される実のなる自由。紅色の牛の足どり、それもまた美しきかな。
『素描203』 閉じられた煙の管。巡り還元される守りを反復と呼べるのだろうか。何を語ろうとコードの網の目。沈黙の余白のみ、理にすでに触れていたはずなのに白樺、夢をもつ葵、もう、捨てよう。
『素描201』 554m 頭 春の夜風 451m 余地に夏 湯と宮 218m 秋の距離 繭についての本 52m 八人の輪 冬の琵琶
『素描200』 星はいつからか五等の線で結ばれ、渚は静まりかえった愛を数えた。岸壁の四つの動作には無駄がなく日々を紡ぐ。ぐるりと回る風車の羽根、前衛的な写真にあるピンボールが我々をはじく。