『素描198』 育まれた、報われた、椋鳥の涙。深夜、冬の高速道路。ある都市の救済院。選択に通底する余韻、いい夢はいい夢であるとは限らず、下層構造を支える自治区のような微笑み。赤く染まった頬もただあなたにある。
『素描197』 浮く憂鬱、薄い膜が目の前にあり天上に届かず。左手に宿した故郷、日が暮れて、暖かい、波に委ねて、気の向くまま猫のよう、いずれかの架け橋として。
『素描195』 風や水や謎に触れた状態。移遷、愛の城砦。 枯れは慎ましくあり、老いは穏やかに、柳に雪折なし。
『素描193』 篝火、泣きながら水を掬い、天狗の歓喜。堕落した人間が注文するオニオンスープ。霊的で官能性のある屍は剥奪された椅子の固定化と同居して輝きを増す。
『素描191』 枯れた葉が微弱に揺れて電子顕微鏡でみる夢と二手に分かれた踵が言うことをきかず、せめて眠るまではエレクトリック・ギターを抱き蓮の中の象徴を心の華とする。