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『素描19』 位置関係。どの視点で。薄く長い膜、ぐるぐると巻く。中心には何もないようなそこに”何かある”。 平易な言葉、隠れた情報(創り上げた妄想)で。発狂とは程遠い。確実に脳を蝕んでくれる。 ユ…
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『素描18』 寂しくなれば道を歩き、また、痛々しくあれば家に戻る。 地面に落ちている紙パックは誰かが手で握り潰したのであろう。 父親が娘の結婚を許さない時のように少し滑稽めいた形をしている。 頬の奥を腫らす親知らずは日毎…
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『素描17』 火遊びをしてはしゃいだ小さい頃を思い出すからだろうか。照らされる範囲はあまり広くなかったが、火をみる時間は特別で、枯れた人生を投影しているように感じていた。人差し指と親指で口の近くにできたニキビのようなでき…
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『素描16』 白髪の神学老人に身をゆだねる。ゴツゴツとしたその手は飼われるには十分であり、疲弊した私にあきらめを覚えさせてくれる。 (そのような状況をつづるとは過去の記憶を引っ張り出し、まとめていく作業である。これが快楽…
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『素描15』 大仏のような赤ん坊、呼吸だけを整えて、生きる秘訣を背負った、寝息。経験則をまるで無視した形。 右耳に寄り添ういびきは、川の上流のような幸福。慮るわたしたちを引っ張るリーダー。調子はずれの鼓笛さえもあやつる。…
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『素描14』 冬、布団から出られず、窓から見える屋根の上の避雷針をぼけっと見つめていた。 となりの部屋から、昨夜つけた加湿器、夢うつつの時。 0時を超えれば日付が変わる、そのせいで昨日と今日が分断。 — プラ…
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『素描13』 執着は周囲を圧倒すれど、調和をもたらさない。個人に根差した決意は個人で留めるべきであり、全体を考えるときは全体として考える。感情をどこまで許容するかというのはとてつもなく難しい。それは優先順位を決めることに…
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『素描12』 他を慮りいつもそばに。選択の自由が教えてくれる贅沢な病。 その感情の埋め方、発光した蛍。荒ぶる波に身を委ねて、白鳥をイメージしやり過ごす。 老犬とラジオ、鎖に繋がれて、大切なお知らせを聴き逃して、しばらく白…
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『素描11』 最良まで高められたコンペティション。今晩は暇潰しに付き合って、最期の時は誰とダレとだれ。 「私の思考は秘密よ」と嘘ぶく彼女はかわいい。いとをかし。あれよあれよ、趣、情緒に表向きはへッドバッド。 難攻不落の逆…
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『素描10』 カマキリが餌を食べた。どこからともなく「やれ、こしらえろ」と聞こえる。草の葉にかすかな露がたれる。遠くに虫を発見。とんでは跳ねる。つぶらな瞳が見えないほどに喜びが大きくなる。下のお腹がぽっこりと膨らむ。ひん…
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