門出
ふたつこぶのラクダが銀河を駆け巡り
流線型のハープが幻想の歴史を紡ぎだす
冷え冷えとした鉄の響きの軌跡をたどり
しんとした海底で目をつむると
明るい鼓笛隊が4/4拍子を保ち迎えいれてくれる
そこら中で紙吹雪が舞い象は空を飛ぶ
気障なギター弾き / 変わったマフラーを首に巻くデザイナー / 熟れた柿を齧る澄んだふたつの目 / テニスコートでじゃれる少年と少女 / 緑の液体とともに研究に没頭する黒縁めがねの博士 / 人を想うための鎮魂歌
脇に抱えた分厚い本はぱらぱらと自分勝手に動き出す
別れのテーマが近づいたとしても
歓喜に満ちあふれたその町で生涯を過ごす
編年史に挟まれたままの文字はひとり記録する