仄かな 机の中の蜜柑が現実を吸い込み 修復せずに置いてあるふたつの秘密 ひとつは乾いた喉を満たす一杯の水 湖を横切る老婆は いつもいつまでも 真似ていた ひとつはひらひらと舞う折り紙 白昼に 濡れた手紙を 数えていた
技師 8つの窓がついた扉 祈りと意味づけが 顔を覗かせる 永遠に とどまろうとする 古びたベッドのように 心が軋み 電球に照らされて 耳を澄ませば
去る 逡巡は魚とともに泳ぎ 駆りだされた兎や鳩、私とあなた 対極にとがった 爪が 磨かれず 光もおざなりに踵を返し 糸が縫われていく、私とあなた 遠く遠く 鉄砲が鳴る
-斑- 沈黙に高揚 沈黙の効用 沈黙と紅葉