『素描141』 柴の千の春。折りず織らず不在の火。 桜並木の下、豊かな温度を保つ室。 水に鏡、映る夜。
『素描140』 不安定に宿る特殊な電波を受けて蛇口が嘲り魚がおどる。 30万で買い取るユーモア批判に天の国の会談。誠実の種は誠実を枯らし誠実を消しゆく。 揺らぎのない波の上で飛ぶ鳩。轟轟と渦巻く底の抜けた心。
『素描138』 ハイブリッド型 コアエンジンを構成するフレームワーク。 かつ、心臓の収縮や拡張に必要な電気信号を発生させる中心部にある組織。 既知と未知と指示と意味と耳。
『素描132』 鐘の音。日が落ちる頃、声帯を震わす。淀みのない川はせせらぎ、木漏れ日がわずかばかり差す。 春の季語に安堵し生活を覚える。明日には明日の風が吹くらしい。天井に向かう吐息。 眼鏡橋を通り抜ける鼓笛隊の行進。