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素描37

『素描37』

所有した言語は沈黙した。てのひらを眺めてみても、頭を冷やしてみても、黙っていた。ピアノを調律する時のように耳を澄ましてみた。「て」「に」「を」「は」を見直してみた。手に取った屋根瓦を間近で見てみた。頭部を黒い霧に晒してみた。遠い野原に出かけて、雨に濡れたままの靴と吊舟草をスケッチしてみた。

沈黙は問われずに、屹立した灯台の横でひとり腹ばいになった。