so sasatani,objective-Saw since 1990.02.02
『素描21』 子ヤギが2匹、屋根の上で愛し合う。 その覆われた毛だけでは、寒さを凌げずに、丘へと飛び降りる。 清涼感のある緑があたり一面に広がり、たなびく雲が心を躍らせる。 目線を外すと、キャンプ場で火を囲み談笑しあう彼… 続きを読む
『素描20』 夜はまだ明けず、subculture Sage とキーボードを打つ音が部屋に響く。 干からびて地面に落ちている柿のように、多くの人とは無関係の時間が流れる。 丸い形をした電球から発される光が部屋を煌々と照ら… 続きを読む
『素描19』 位置関係。どの視点で。薄く長い膜、ぐるぐると巻く。中心には何もないようなそこに”何かある”。 平易な言葉、隠れた情報(創り上げた妄想)で。発狂とは程遠い。確実に脳を蝕んでくれる。 ユ… 続きを読む
『素描18』 寂しくなれば道を歩き、また、痛々しくあれば家に戻る。 地面に落ちている紙パックは誰かが手で握り潰したのであろう。 父親が娘の結婚を許さない時のように少し滑稽めいた形をしている。 頬の奥を腫らす親知らずは日毎… 続きを読む
『素描17』 火遊びをしてはしゃいだ小さい頃を思い出すからだろうか。照らされる範囲はあまり広くなかったが、火をみる時間は特別で、枯れた人生を投影しているように感じていた。人差し指と親指で口の近くにできたニキビのようなでき… 続きを読む
『素描16』 白髪の神学老人に身をゆだねる。ゴツゴツとしたその手は飼われるには十分であり、疲弊した私にあきらめを覚えさせてくれる。 (そのような状況をつづるとは過去の記憶を引っ張り出し、まとめていく作業である。これが快楽… 続きを読む
『素描15』 大仏のような赤ん坊、呼吸だけを整えて、生きる秘訣を背負った、寝息。経験則をまるで無視した形。 右耳に寄り添ういびきは、川の上流のような幸福。慮るわたしたちを引っ張るリーダー。調子はずれの鼓笛さえもあやつる。… 続きを読む
『素描14』 冬、布団から出られず、窓から見える屋根の上の避雷針をぼけっと見つめていた。 となりの部屋から、昨夜つけた加湿器、夢うつつの時。 0時を超えれば日付が変わる、そのせいで昨日と今日が分断。 — プラ… 続きを読む
『素描13』 執着は周囲を圧倒すれど、調和をもたらさない。個人に根差した決意は個人で留めるべきであり、全体を考えるときは全体として考える。感情をどこまで許容するかというのはとてつもなく難しい。それは優先順位を決めることに… 続きを読む
『素描12』 他を慮りいつもそばに。選択の自由が教えてくれる贅沢な病。 その感情の埋め方、発光した蛍。荒ぶる波に身を委ねて、白鳥をイメージしやり過ごす。 老犬とラジオ、鎖に繋がれて、大切なお知らせを聴き逃して、しばらく白… 続きを読む